―取締役 岩村もと子さんにお話を伺いました。昭和初期に鎌倉山が別荘地として開発されましたが、この場所は当時開発を手掛けた菅原通済の父で鉄道事業者だった菅原恒覧の別荘として昭和4年に建てられました。
本館は戸塚の養蚕農家だった建物を移築したもので、200年前の部材がそのまま使われている箇所が多くあります。山門は昔西御門にあった高松寺から、正面玄関は手広の青蓮寺からそれぞれ譲り受けて移築したものです。そのほか建物内の調度品、庭園にある建造物なども、いろいろな場所から蒐集されたものです。
昭和30年代に父がこの土地・建物を取得し、昭和44年に母がお蕎麦や会席料理を出す料理屋を開いたのが檑亭の始まりです。
昔ながらの自然と建物を保存すること
―御社のこだわりを教えてください。
この土地の植栽を一切壊したくない、ビオトープとして保存したいという思いがあり、昭和4年にあったもの以外を持ち込まずに庭園を造っています。ですので、昔ながらの鎌倉の自然を味わえる場所だと思います。
また、今ある建物は修繕などをしてなるべく維持していきたいと思っています。
―広大な庭園と古い建物を維持していくのは大変ですね。
皆様に助けていただいて何とかやっています。文化財指定していただいている建物や広い庭園を多くの人に見ていただきたいという思いがありますので、お食事もあまり高い価格設定にしないようにしています。
入口で500円の「くぐり券」を購入すれば、自由に庭園を散策していただけて、お蕎麦代やコーヒー代の一部に使っていただける仕組みにしています。
地産地消
お食事にはなるべく県内産の食材を使うようにしています。地産地消の原点として、庭園で栽培する食材もお店でお出ししています。フキノトウはここ数年で4倍ほど収穫量が上がりました。竹林があるので、タケノコも採れます。
―これから特に力を入れていきたいことがあれば教えてください。
夏にビアガーデンをやっているのですが、コロナ禍の中、大賑わいでした。屋外で他との間隔を10m近くとれるので、安心感があったと思います。
このアウトドアの冬メニュー版をやる予定です!しゃぶしゃぶやおでんに日本酒など、楽しんでいただけるように考えているところです。
もう一つ、庭園全部を使ったコスプレ大会をやりたいです。和の空間の中で写真を撮りたい、というニーズがあるのではないかと思っています。
やる気のある人
―そんなアイデアいっぱいの檑亭さんではどんな人材を求めていますか。
16歳から80歳まで幅広い年代の従業員がいますが、それぞれの特長を活かしながら働いてくれているのが、当社の強みだと思います。
これから来ていただきたいのは、やる気のある人、前向きな人、気持ちが大人で独立心がある人です。もちろん体力もあるといいと思います。
―接客担当で社員のF.Eさん、アルバイトの後藤さんにお話を伺いました。
素晴らしい景色とお客様との会話
―檑亭さんの魅力、お仕事のやりがいを教えてください。
F.E:なんといっても景色だと思います。沈んだ気分のときもここに来ると気分が変わります。普通の飲食店ですと、一度仕事に入ると雨や雪といった天候の変化も気付きにくいですが、ここでは外の様子を感じて、富士山を見ながら仕事できるのが幸せです。
お仕事では、お客様とお話しするのが楽しいです。
後藤:最高の立地、建物で仕事に来るだけで楽しいです!
お客様はご家族連れの赤ちゃんからお年寄りまで幅広く、いろいろなことをお話しできるのも楽しいです。
―職場の雰囲気はいかがですか。
F.E:もと子さん(取締役)がくだけた方なので、笑いあり、でもきちんとするべきところはスパッと厳しく、メリハリがあります。お客様も穏やかな方が多いですし、とても働きやすい職場だと思います。
後藤:最近若い人が増えて活気が出ました。幅広い年代の人と働けるのも面白いです。
―最後に、どんな人と一緒に働きたいですか。
F.E:お客様と接する仕事ですので、明るいのが一番だと思います。
後藤:檑亭には、自分にはない知識や技術、視点を持っている人がたくさんいます。そういった特長ある人が増えたら、さらに面白くなっていくのではないかと思っています。