―取締役で総務部長の鎌田浩一さんにお話を伺いました。弊社は昭和24年に五反田で創業し、昭和30年代半ばに鎌倉に移ってきました。社名に“東京”とあるので地元企業だと思われないことが多いのですが、この地での操業は50年以上になります。
移転当時は周りに民家がほとんどなかったので、臭いや音が出る鋳造工場が作れたのだと思います。今は市街地になっていますから、臭い・音・埃を外に出してご迷惑をかけないよう、十分気を付けています。
社名の“スリーブ”は“筒”という意味で、作っている製品を表しています。製品の中心は、トラックやバス、発電機、船などに搭載されるディーゼルエンジンの部品です。エンジンのピストンが上下するときの摩耗を防ぐためにあらかじめ減りしろとして入れておく部品で、擦り減った際はエンジン全体ではなくその部分だけを取り換えればよいというものです。
原材料から完成品まで
―御社の強みやこだわりを教えてください。
エンジン部品の工場は素材を購入して作るところが多いのですが、弊社は鉄や銅、ニッケルなどの原材料を鋳造工場で溶解し、素材を作り出すところからやっています。その後、機械加工工場で加工し、機械や目視で検査して出荷しています。原材料から完成品まですべての工程を一つの場所で行っている、というのが特長です。そのため、作り始めから納品までの期間や、中間マージンがかからない分のコストを抑えられるというのが強みです。
ロボット用部品へのチャレンジ
―これから新たに力を入れたいことはありますか。
今はディーゼルエンジン向け部品が売り上げの7~8割を占めています。乗用車は既にハイブリット車や電動自動車が普及していますが、トラックなどの商用車も同じ流れになり、ディーゼルエンジンの需要が減っていくと予測しています。
今、いろいろな方面でロボットが活用されています。新たな商材として、今後はロボットに使われるような精密・小型かつ耐久性がある部品を作っていきたいと考えています。こういったものは、プラスチックや樹脂でできないものも多いので、まさに弊社がこれからやっていくべきところだと考えています。
―御社のアピールポイントを教えてください。
歴史のある工場ですので、大手の取引先と直接契約しているケースが多く、経営が安定しているところです。
また、ものづくりの会社ですので、働く時間がきちんとコントロールされています。福利厚生も整っていますし、全般的に働きやすい会社だと思います。
―会社の雰囲気はどうですか?
働いている人の年齢幅が広く、20代から70代手前の方までおり、年長者が若い人に向けて丁寧に指導しています。ものづくりの会社というと、昔ながらの厳しい職人の世界を想像するかもしれませんが、優しくあたたかみのある人が多いです。
今年はコロナ禍でできませんでしたが、毎年夏には納涼会などもあり、職種が違う社員同士の交流もあります。
コミュニケーション能力と出世への意欲
―そんな東京スリーブさんではどんな人材を求めていますか。
弊社では、素材を作って、機械で加工して、検査する、それをすべて一つの会社でやるため、横のつながりがとても大切です。自分のことだけではなく周りがよく見れるような、気配りができる人が望まれます。
また、最近は出世欲のない人が多いのですが、それでは次世代に会社を任そうと思ったときに困ってしまいます。人の先頭に立って現場を指示したり、対外折衝したりすることに意欲がある、熱意のある人にきてほしいと思いますね。
―御社で働くにあたって必要な技術・資格はあるのでしょうか。
技術校で旋盤や溶接のカリキュラムをとって、国家資格を取得して入ってくる人もいますが、ほとんどの人は未経験者です。入社後に仕事で必要な技術を教え、働きながら身に着けてもらいます。ただ、OJTで教えられることには限りがあるため、外部の教育機関に派遣して勉強してもらうこともあります。
弊社の社長は「社員を定着させて良いモノづくりをするためには、“設備”と“人”だ」と常々言っており、設備投資や教育について重点的に取り組んでいます。